そして普通級へ

2015年03月31日

ドアを開けると凛々しい男の子の姿が。

リョータくん。

今月で、5年目に突入しました。

もう、『男の子』なんて言葉も似合わなくなりました。

すっかり声も低くなり、
今では「わかりましたか?」なんて、ぐりの方が彼の顔を見上げて言っています。


「なんだか卒業なんて実感が全然なくて」と、明るくおっしゃるお母さん。
ですが、ここまでの道のりは、それなりにいろいろあった訳です・・・。

参照記事:

2013/06/17



初めのうちは、よく泣いておられたお母さん。
レッスンの日は、心配されて仕事を早く切り上げて一緒に付き添われていたお父さん。

そんな時間も共に過ごしてきただけに、
いま、こうして清々しい笑顔で並んでいらっしゃるご両親お二人を拝見できて、
喜びもひとしお色濃いものでした。


卒業を目前に控えた頃、リョータくんと話をしました。

1年生から他校にある通級指導を受けていたのですが、
5年生になったあたりを境にパッタリ行かなくなりました。
もう、この頃には ご両親もレッスンはリョータくんに任せっきりでしたし、
以前、通級に行くことを人に知られたくないとリョータくん自身も言っていたので、
触れずにいたのですが、改めて聞いてみることにしたのです。

通級に行かなくなった理由の一つは、その学校の普通級の生徒さんたちから
「なんで よその学校の人が来てるんだ?」と、言われたからだと。

それは、リョータくんにとって、どういう気持ちで、どのような変化があったかを尋ねると、
「うーん・・・まぁ、クラスの人たちと触れ合うことが増えたし、友達もできて楽しかったです」
と、いう冷静な答えが返ってきました。

とても傷つく出来事だったと思いますが、きちんと分析して気持ちを処理できているようです。

避けては通れない、人との衝突をプラスに転じさせているのは、
ご両親のご理解があってこそだということは、言うまでもありません。

失敗しないようにコントロールすることも、確かに大切かもしれませんが、
失敗した時に、どう対処するかということの方向付け、見守ることの方が、
お子さんにとっては、自身の引き出しを増やすことになり、
有意義な経験になるのではないでしょうか。

結果として、哀しい出来事も、普通級で暮らすための良いきっかけに変えることができたのは、
ご両親の強い愛のエネルギーであり、
それがリョータくんにとって、『自分で選択、決断して行動する』という、
大きな一歩を踏み出すことにもつながったように思います。

その証拠に、5年生からのリョータくんは目覚ましい成長を遂げることができました。

そして、

中学校生活は普通級で送れることになりました。

判定の審査の先生から
「失礼ながら、小学生で通級の判定が出たということは、大変な状態だったと思います。
しかし、ハプニングがあっても、これだけ大人を相手にきちんとこれだけのことを話せるということはスゴイことだと思います。
こういうことはとても珍しいケースですね」

と感心され、その場で普通級の判定をもらい、あっという間に会場をあとにされたとのこと。

あの状態から、よくここまでリカバリーできたと、ぐりも本当に思います。

「もっと早くにやっていれば」「今ごろこんなことやってるんですけど」
リョータくんのお母さんが、よくメールに書いていらっしゃる言葉です。

どんなことも決して『遅い』などということはなく、気づいた時から始まります。
受け取る準備ができてはじめて、課題も見えてくるのではないでしょうか。

自分のやり方が間違っているかもしれないと、素直に見つめなおしたり、
新しい方法を取り入れることをおそれずにやっていくことを
何度も立ち止まりながら御家族で確認しあい、
目の前にある一つひとつのことに謙虚に取り組んで進んでこられてきた姿には、
本当に頭が下がります。

また、その経験と実績は、リョータくん、ご両親それぞれの大きな自信につながると共に、
時間を遡って過去の古い心の痛みも、きっと癒してくれることと思います。

過去は変えられないと言いますが、現在(いま)が変われば解釈のしかたも変わるため、
同じ出来事でも違ったものになると言われています。

そして、あるのは未来。

10年後、リョータくんが社会にでる頃には、
障がいに関して、もっと理解が深まっている社会になっていることを願いますが、
彼が、自分の発達障害のことを知り、いいカタチで自分への理解を少しでも深めていける日がくるといいなと思っています。


リョータくんからの お花です。

修学旅行で、決められた少ないお小遣いのほとんどを
「お世話になっているから」などと、ぐりのお土産に使ってくれたことがありました。
また、それを優しい笑顔で頷かれるだけのご両親。

彼には そんなところがあります。


「中学生になったら、美術部か放送部に入ってみたいです」
リョータくんの笑顔から、入学を楽しみにしているようで安心です。

メンタル面と機能面の確実な向上で、リョータくんも リアルな夢や希望を描けるようになりました。
卒業式では実行委員に立候補するなど、誰かの役に立つ喜びを知ったり、責任感や達成感も芽生えています。

リョータくんの強みは、礼儀正しさと気遣いができるところです。

読書量が増えたことと、御家族で大河ドラマやたくさんの映画鑑賞を楽しまれることにより、
会話の形式のストックが随分と増えました。

ネクタイを誰に結んでもらったか尋ねると、「恥ずかしながら、お母さんに・・」と照れていました。
難しい言い回しも、失礼のないようにという気遣いからですし、そのうち年相応になります。
美しい日本語が使えることは素晴らしいことです。

4年前、心配に明け暮れて、こんな日がくるなんて、思いもしなかった お父さんお母さん。
どんなときも、遠いところを通い続けてくださって、本当にありがとうございます。
お二人が、辛い思いをされたことも、リョータくんにどんなに愛情を注いでこられたかも、
ぐりは知っています。

ちょっとぐらい変わってていいし、むしろ変わっていた方がいい。

リョータくん自身が、『これが本当に自分らしい』と思える姿に辿り着けるよう、
ぐりは、いつでもリョータくんを応援しています。

リョータくん、あなたのような人が、私の生徒であることを心から嬉しく思います。

卒業、入学おめでとう。


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問題は状況ではなく、在り方なのです。
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この記事へのコメント
すごーい!!やったね、リョータくん!!

おめでとうございます。
Posted by nao at 2015年03月31日 20:34
おめでとうございます。

レッスンを深くご理解されている親御さんが素晴らしいと思う。

勝ち組
Posted by なかじー at 2015年03月31日 20:43
たしかに勝ち組ですね。
優秀なアドバイザーをもつことが成功の鍵。
人生、成人してからの方が長いのですから。
親も年をとりますし、介護なども関わってきます。
その時に気付いても遅いのです。

と、私の主人の母を見ていて思います。
主人の兄は、おそらく発達障がいです。大変です。
Posted by 安河内 at 2015年03月31日 21:20
発達障がいを抱えて死にたいと思い悩む二十代の若者は数しれません。
幼少の時からの言葉掛けや経験が、いかに人格形成に影響を及ぼすかを考えると、人との出会いは大きいですね。

リョータくんの立ち姿は、なんだか凛々しく見えます。
おめでとうございます。
Posted by 茉莉音 at 2015年04月01日 17:13
感謝の気持ちを言葉に表したり、形で表したり、行きかようのは心ですね。素敵です。

おめでとうございます。
Posted by 神田 at 2015年04月02日 23:34
どう頑張るかということよりも、誰とつながっているかの方が、大切だと思います。
大変だったのは、親御さんが気付くまでの導きなのではないでしょうか。
私も学ぶ姿勢を忘れずにいたいと思いました。

おめでとうございます。
Posted by デイジー at 2015年04月03日 15:31
お金がない、時間がないと言って何もしないか、少しでも安いところを探して行くような人は多い。
そんな人は、つまらんところに引っ掛かって詐取されてることに気付いてないからねww

この教室を選んだ親御さんのセンスが素晴らしい。
頑張れ、リョータくん!!
おめでとうございます。
Posted by ニシダヒガシダ at 2015年04月08日 16:35
ご入学おめでとうございます。

きちんとしたお稽古事のたしなみがあると、将来、必ず活かされると思います。
先生へのお気持ちを大切になさるリョータさんと、そんなつながりを子どもに作って差し上げられるお父様お母様は素敵なご家族ですね。
Posted by 中谷友梨恵 at 2015年04月14日 11:45
おめでとうございます。

ぐり先生に素敵な魔法をかけてもらったのですね。

きっと幸せになれますよ。

私の息子も大変お世話になりました。
Posted by トムくん at 2015年04月16日 18:32
 
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