鉄は熱くして打て!!

2012年08月18日

「リョータ君どうかしました?何かしました?」
メールを書きかけたものの、どうにももどかしくて、思わず電話しての ぐりの第一声。

「いえいえ、何も・・・何かあったんですか?」と、不安げなママの声。

リョータ君のレッスンで、今までに無くものすごい手ごたえを感じたのです。
ぐりの教室は、楽しいお喋りもたくさんしますが、
カリキュラムも多く、ガッツリと弾かせます。

個人差はありますが、小学校3、4年生あたりでの急激な伸び。
ピアノを教えることを始めて約20年、子どもたちのこの劇的瞬間を何度となく目にしてきました。

少年期は、神経系の発達が著しく、5〜6歳で成熟期のほぼ80%、12歳ではほぼ100%に達してしまいます。
そして張り巡らされた神経経路はなかなか消えないという特徴を持っています。

「1度自転車に乗れるようになったら何年間も乗っていなくてもすぐにまた乗れる」「子供の頃覚えた遊びは大人になっても忘れない」のはそのためです。

9歳〜12歳頃の年代では、神経系の発達がほぼ完成に近づいているだけでなく、
まだ脳の可塑性(かそせい=柔軟な性質)も残っている時期でもあり、かつ筋肉や骨格の発達も進み、いろいろな動作を習得する準備が整ってくる時期でもあります。

一生に一度だけ訪れる『あらゆる動作を極めて短期間に覚えること』が可能な時期でもあるのです。


リョータ君は、今、まさにそのシーズン到来。
タイミングを逃してはいけません。

ぐりは、ピアノだけが伸びるということは無いと思っています。
学校生活の充実だったり、健康面の充実、内面の成長だったり、他の得意なことの上達だったり。
昨日までできなかったのに、ということも、よくありますね。


折鶴をこんなにキレイに創ってくれました♪
これはピアノを弾く姿を見ていても、わります。
指先の感覚を把握し、力をコントロールできるようになった、
両目を使って紙の重なりがわかるようになった、
『こうなるとキレイ』だとか、『こういうのが上手』だとかが認識できて、意識することができるようになった証でもあります。
それに、先生に見せたい!!と、思ってくれるところが、また嬉しいじゃありませんか♪

3年生になる直前にピアノを始めたリョータ君。
ぐりが取り入れている目のトレーニングを始めて3ヶ月。
やっと成果が目に見えてきました。

それから『聴くチカラ』もグングン伸びてきました。

リョータ君は最近、なにげなく流れているテレビのCMの曲を聴いて、
「あ、この曲は、あのCMと同じだ!」
などと、言うようになったそうです。


『きいているけど きこえていない』 

聞き取りが困難なゆえのアウトプットの困難。
理解を得られず叱られっぱなしで心が屈折したり、臆病になる要因のひとつでもあります。

ぐりの教室で使っているテキストは連弾できるようになっています。
たくさんの音の中から自分の音を拾えなくなるのか、音の洪水で騒音になってしまうのか
「せんせい、ひかないでー」という生徒さんも多いです。

リョータ君は、意識しなくても音の選別や調整ができるようになってきました。
視覚、聴覚、体感覚のバランス機能が大幅に向上しているということです。

発達障害を研究なさっている杉山登志郎先生が、
発達障害の治療、教育の是非を調べることは実は簡単である。
成人になるまで待って、成人になってからの状態を比較すれば良いのだ。

と、著書に記していらっしゃいます。

しかし、実際そんなに待てませんし、そう思うと時間が限られているのがわかります。

リョータ君のご両親のご理解と、適切な行動により、
この1年、リョータくんが目覚ましい成長を遂げられたことは、特筆するまでもありません。

『子どもに変わってもらいたければ、まずは自分たちから変わらなければ』と、ご両親。

なかなかできることではありません。


自己の確立、才能の覚醒、自己肯定感の高まり・・・
今までの自分や、今の自分、ご両親に対するやり場のない怒りにも受け取れるエネルギーを
全てママにぶつけていた1年前の苦しかった夏休み。


“勝手に何もできないと決め付けて、何もできない子にしていたのは私たち親の方でした。
信じていると思っていたけど、実は、依存していただけだったんだと反省ばかりです。
パパを中心に、たとえゆっくりでもできることからはじめていきます。”


これは、ママのメールの一文です。



ぐりの教室に通ってくださるようになって1年半。
「フツーでいいんです、もうフツーにやってくれるだけで・・・。
そうなるといいなぁー。そんな日なんてくるのかなぁー」

と、いつも口にしていたリョータ君のママ。


いまみえる景色は、決してあの時と同じではないはず。
そして、願っていたこと以上のものが具体的にカタチになるということを実感できるはず。


「ボク、あと1ヶ月で誕生日です」

ぐりがハッピーバースデイをピアノで弾くと、
涙を流しながら、嬉しそうにリョータ君が産まれた日のことを語ってくださった、
疲れきっていたあの日から1年。
いまでは笑って「あんなときもあったなぁー」なんて振り返れるまでに。

リョータ君が生まれて10年。
こうやってだんだんお父さん、お母さんになっていくのかもしれません。

リョータ君、愛情いっぱいの素敵なご両親のもとに生まれてよかったね。

10歳の誕生日おめでとう

そして、ありがとう。
ぐりは、いつでも応援しています。

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この記事へのコメント
素晴らしいです。
同じ発達障害の子どもを持つ親として、希望がもてました!!

時間が限られていると、改めて思い知りました。
今しなければならないことを考え直そうと思います。

ピアノを介してトータルでプロデュース。
痒いところ、気がつかないところにも手が届くレッスンって、日々時間に追われる親にとっては神です!!

どういうところに時間、労力、お金を掛けるかも改めて考え直そうと思います。

千葉からは通えないのが非常に残念・・・
Posted by しんちゃん at 2012年08月19日 01:02
NYは只今土曜のお昼。
読みごたえのあるレッスン日記が続くね。
障害を受け入れるということは、時間がかかるね。
受け入れると、特性さえも微笑ましくみえるものだよ。
このご両親に早く気付いてもらえて良かったね。
きっと、お互いに目指す方向が同じだったんだね。
いつもながら、さすがの指導力だよ。お見事。
Posted by ごっつ at 2012年08月19日 01:52
みんなさ、ぐりのことが大好きなんだね。
子どもは、大人を見透かす能力が高い。
その子どもたちから愛されるって、すごいことだよ。
その繊細で溢れる愛情に、後ろめたさを感じる者は、耐えきれず去るしかない。
Posted by ぐっさん at 2012年08月19日 12:28
このご両親は素晴らしいお人柄ですね。
人は一人では生きていけません。障害があればなおさらです。
目には見えないフォローをたくさんしてもらっていることを
当たり前に思うか、一つひとつに感謝するか。
発達障害は決して親の躾ではありませんが、家庭環境が当事者の一生を左右すると言っても過言ではありません。
10年後はリョーヤくんも二十歳ですね。
親として悩みは尽きませんが、ぐりさんとの出会いが大きなものであったことには相違ないと思います。

リョーヤくんご家族のように一人でも多くの方を笑顔にしようと努力を惜しまないぐりさんをリスペクトしています。
Posted by 茉莉音 at 2012年08月19日 14:16
リョーヤ君のママのメールの一文にガツンとやられた気がします。
先生にお任せするということは、先生を信じ、子どもを信じ、つまり自分を信じることなのですね。
誰かを信じられないということは、自分も人から信じてもらえていないということになりますね。
しかしながら、なかなか先生のような方に出会うことが難しいのも現実です。
Posted by なっちママ at 2012年08月19日 18:10
レッスン時間以外にも
相談やアドバイスもらう時間をとらせてること
ピアノ教室で
それ以上のことまで配慮や指導をもらっていること
に気付いてるご両親が素晴らしいですな。
図々しい人って本当に多いし、ま、残念な生き方しかできてませんけども。
Posted by ニシダヒガシダ at 2012年08月21日 09:54
 
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