2012年09月09日

きょうだい児でありながら、当事者でも。

「ななちゃん(お姉ちゃん)が生きやすいようになってくれたら、
ただそれだけでいいんです」



だからこそ、みーちゃん(妹)の教育も、しっかりとしましょう


「あぁ、そういうことか」



きょうだい児でありながら、当事者でも。


ぐりの教室に二人が通ってくださるようになって、丸1年。
現在ななちゃん2年生、みーちゃん年長さん。


最初の頃のみーちゃんは、
カチンコチンにかたまったままピアノの前に座って、
ぐりのマネをして触ることさえままならず、
眉ひとつピクリともさせずに、首を縦か横に振るのが精いっぱい。

何を話しかけても、すべてに「わからん・・・」と答えるばかりの年中さんでした。

ただ、ガブリムシャムシャ!って、好きなものを食べる歌のときだけ、
何食べる?と聞くと
「もも!! いちご!! ぶどう!!」
と、フルーツの名前がどんどんでてきます。

あぁ、フルーツ大好きで食べるの好きなんだなぁ。
わかること、つながれることが見つかって安心しました。

フルーツを答えるのみで、そのあとは、
ぐりがうたったり、ふざけたりするのを
横で じーっと見ているだけですが、それでも十分。


見え方、情報処理のスピード、記憶、体の動かし方に困難を抱えていると
おそらく倍速、3倍速で動画をみているのと同じ感覚で
まったく入っていかないのだろうと思います。

また、じっーっと見ているだけで、
イマイチ盛り上がりに欠けたかなぁと心配していても、
お母さんには「おもしろかったー!!」と、家に帰ってから
何度もやってみせたりすることもあって、
安心することもよくあります。



『きょうだい児』という言葉。
病気や障害を抱えた子どものきょうだいのことです。
困難を抱えている当事者だけに注目や関心が集まりがちですが、
その陰で寂しさや我慢、お世話をしなければと幼い頃から抱く使命感など、
複雑な感情を胸に秘めている『きょうだい児』
検索すると、いっぱいでてきます。



今まで ななちゃんのことに必死で無我夢中だったお母さん。
お母さんが、がむしゃらに頑張って通ってくださったからこそ、
ななちゃんが見違えるほどの伸びをみせ、
お母さんも、ほんの少しだけ気持ちに余裕を取り戻すことができました。

だからこそ、少し立ち止まることができて、
みーちゃんは楽しんでるのかな?という思いになられたのです。

もう、素晴らしい、の一言ですよね。


ピアノはもちろんですが、かなりの量の課題をバリバリこなし、
表情、会話力、動きがみるみる変化していくななちゃんを間近にご覧になって、
「こんな子が、集中してこれだけの量をこなせるなんて。
かなり難しい問題もやってるし・・」

と、驚かれるお母さん。


みーちゃんも療育レッスンを始めてくださる運びとなりました。


3ヶ月ほどしてからでしょうか。
姉妹の関わり方が変わってきて、工夫して遊べるようになったと。
二人で遊んでくれると、手がかからなくなって
お母さんもずいぶんとラクになります。

それぞれがぬいぐるみを両手に『はないちもんめ』をやって、
「うさぎさんがほっしい〜」と、見立て遊びをしたり笑

う゛・・それ、ぐりも見たかったな・・・。 


お母さんも元気を取り戻されて、親子三人で仲良く帰っていかれるようになりました。。

お母さんの笑顔は、子どもにとって何よりも嬉しいもの。
ななちゃん、みーちゃんにも笑顔が増えたのは、いうまでもありません。


2年生になったばかりのお姉ちゃんのななちゃんが、
一人で駐車場から交通量の多い信号を渡って教室に来て、
帰りも一人で下まで行くという挑戦を始めたことをきっかけに、
みーちゃんにも「わたしも、ひとりでしたい!!」と言い出して。

下のお子さんは、なんでもすぐに上のお子さんの真似をして
追いつけ追い越せでやりたがりますね笑

年長さんの みーちゃんには、まずは、エレベーターから一人で挑戦で
納得してもらいました笑


お子さんたちが、自発的に思いついて、やってみたい!!
と行動してくれることをいつも目指しています。

そして、それを叶えてあげられるように、手や口出ししすぎず、
そっとうしろから見守ってくださるお母さんに、
感謝の気持ちでいっぱいです。


「ひとりで何かをさせる」ということを
いままで考えたこともありませんでした・・・」


と、お母さん。


ななちゃんは、周りの状況が少しみえるようになり、
『自分』と『他』の違いがわかってきたことや、
上手くいかない自分への焦りや苛立ちを
お母さんにぶつけちゃうこともあって、
ちょっぴり反抗期も重なった2年生の夏休みでした。

うん、親子だもの。成長過程。健全健全!!


みーちゃんは、ひょうきんなことを言って
人を笑わせようとする様子がみられるようになりました。
あのまったく喋らない子だった、みーちゃんが!!です。
ちょっと重い空気を読み、その場の空気を変えようと、
優しい気持ちがあるのかもしれませんね。


「金曜日、忙しいとー。わたしの誕生日やん」と、ななちゃん。

ピアノでハッピーバースディを弾いたら、
うふふと嬉しそうにはにかんでいました♪

エリーゼのために、トルコマーチ、カノンと、次々弾いていくと、
グランドピアノの中を覗き込みながら
「あ!これ知っとーよ!タタタタタン・・・♪」と
一緒にメロディーを口ずさんでいました。

「わたしね、歌ってあんまり好きじゃないの」と、
これまでレッスンで歌うことが一度もなく、
ぐりの方が思いがけず大きなプレゼントをもらった気分でした。

「帰ったらピアノ弾こーっと♪」上機嫌で靴を履きながら
「ありがとうございましたっ!さようならー!フフフフフン♪」
鼻歌まじりに足取り軽く帰っていったななちゃんです。

8歳のお誕生日おめでとう。

7歳のお誕生日のときは、ぐりの存在にはまったく関心がなく、
そんな話を交わすことさえありませんでしたね。
ななちゃんの成長と、心の距離が近くなったことへの喜びを深く深く感じます。
ありがとう。


上のお子さんが伸びることが、下のお子さんを伸ばし、
下のお子さんが伸びることが、上のお子さんを伸ばす

どの子も我慢することなく、遠慮することなく
自分がやりたいことをやって、伸びたいように伸びたらいい

きょうだい、親を理解するということは
互いの適切な距離がわかることでもある

ぐりは、そう思っています。



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この記事へのコメント
その絵本、懐かしい昭和の時代の生活を思い出しますね。私も好きです。

昔と違って、今の子どもの将来は親次第ということになるのではないでしょうか。

いくら学力が高くても、教養が身についていないために、社会に適応できない時代。

ぐりさんが、目指されていらっしゃるところは、
教養を身につけて、学ぶ意欲や喜びを知った結果、学力も高くなるということなのでしょう。

こちらの生徒さんが受けられているレッスンこそが、本来あるべき教育の姿なのではないでしょうか。

自分を受け入れられず、苦しんでいる成人が多いのが現状です。

そしてまた、きょうだい児たちも生い立ちから気付かないうちに精神疾病を患っていることがあるのも現状です。

お互い頑張りましょう。
Posted by 茉莉音 at 2012年09月11日 00:18
一緒に子育てしてくれる場所、学校以外の居場所、親子それぞれに関わってもらえるって、今ではありがたい時代。

ノーマライゼーション。
こういう教育を幼少から受けられると、違いを排除しない・・・いじめも今のようにエスカレートしないだろう。
Posted by ぐっさん at 2012年09月12日 22:22
このお母さんは、意識が高い。
妹さんにも受けさせるなんて知能教育の意味と価値をよく理解なさっています。
素晴らしい!!

漢字と計算ドリルばかりさせて満足している親にはわからないでしょう。。。
ブログに書かかれていない奇跡も、私はたくさん聞かせてもらってるけど、ほんとにスゴい内容ですよね。

なぜピアノが伸びないのか?わからないのでしょう。
なぜ練習しないのか?わからないのでしょう。
何かのせいにしたり、最初から諦めていたりしているうちに、何も習得しないままアッという間に6年生、中学生になって、行き場と居場所がなくなってしまう。

要約すると、親が教育費ケチると行き場も居場所もなくなる、、、

また毒吐きましたなww

でも、出会った連中は、そんなかわいそうな奴らばかりです。

口癖は「お母さんはわかってない。ドリルの前にさせることあっただろ?」って。
できなかった理由が今になってわかって、みんな悔しがってる。

ぐりさん、どうかそのガッツリメニューを1人でも多くの子どもたちに。
Posted by ニシダヒガシダ at 2012年09月13日 03:09
親にも特性があれば、なかなか気付かないか、勝手に間違った方向に頑張ってしまわれて困る。
親が漢字と計算ばかり『こだわって』やらせたところで、可能性など伸びるどころか、見出だされることなんてないに等しい。
親の能力以上のことなど教えられずに、すぐ頭打ちがきて労多くして益なし、現状は何も変わらないのだ。
変わらないならまだましか。
良識のある親ならどうすればいいか、こちらの親御さんのようにすぐに答えはみつけられるだろう。
Posted by 菅沼 at 2012年09月13日 04:39
 
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