2013年03月31日

大人になってから始めることの楽しさ

『良い耳』というのは、
単に音の高さやリズムを聴きわけるだけでなく、 
音の微妙な表情を聴き取ることができるということでもあります。

これは言語にも共通することですね。

例えばお母さんが赤ちゃんの泣き声で、
お腹がすいたのか、オムツを替えて欲しいのかを聞き分けたり、
ご家族の「ただいま」の声の調子で、
何かいいことがあったのか、その反対なのかを聞き分けたりと、
具体的に示してみると、私たちが日常意識せずにやっていることです。

それを意識して改めて音楽を聴いてみると、
いつも聞いている音楽も、また違った聴き方ができるし、
それまで敬遠していたジャンルも、
少し距離が縮まるかもしれません。


そして『良い耳』を育てるには、たくさんの音楽を聴くということはもちろんですが、
幼少期の経験や訓練も大きく関わってくるといわれています。

7歳までにピアノを初めた人と、7歳以降に初めた人とでは、
前者の方が聴覚野の神経細胞の数が多いことが知られています。

そしてもう1つ、良い耳を育むためには、
実際に自分の身体で楽器を演奏することにあります。

自分で演奏するということは、
自分で出した音を自分の耳で確かめるということです。

ピアノを習っている人で「耳が良い」と言われる人は、
単に音の高低やリズムを聴くだけでなく、
聴いた音の微妙なニュアンスを自分の指でタッチをコントロールしながら、
また、その響きを再現できているかどうか、自分の耳で確かめることができる

ということになります。

いわゆる耳コピーですね。


耳が良い人は、語学の習得にも活かせます。


英語が素晴らしく堪能なミユキちゃんです。

「なんか、あ!!私上手くなったー♪って気がします(*ノ▽ノ)」

って、最近毎回レッスンのたびに嬉しそう。

未経験からの1年半にして、
素晴らしい演奏力と表現力でもって、只今ブルグミュラーを猛進中です。

それもそのはず。
英会話で鍛え上げられた耳をお持ちなのですから。

ぐりが「こういう解釈で弾くと…」と弾いてみせると、
「え?同じピアノ弾いてるのに全然違うなぁ」なんて言いながらも、
細かい表情までよく聴き取って再現なさります。

お見事!!

演奏技術が上がってくると、音楽の解釈も深まり、
ついつい欲が出てしまい、もっと高いことを求めてしまいます・・

ぐりの悪い癖。

素直さと理解力、器用さを持ち合わせた人は、どんどん吸収しますね。

そして、何よりも『ひととしての経験と人柄』が音になって表れます。
ご家族との関係、読んだ本、観た映画、聴いた音楽、人とのふれあい…
五感で感じてきたものが、『その人の音』を紡ぎます。

ぐりは、ミユキちゃんの感性を本当に素晴らしいと感じます。


ピアノを弾く時の複雑に絡み合う複数の動作によって、
脳の機能する部分も異なります。

ぐりは教え方次第で、いろんな機能を鍛えていくことが可能になると考えています。
これは知れば知るほど興味深いです。

科学者であれば、きちんとデータによって説明なさるのでしょうが、
ぐりは街のピアノのせんせいなのでね。
困難を抱える生徒さんたちとの多くの取り組みによる経験則です。

実際、ぐりもピアノのレッスンを集中して行った後、また自分が受けた後、
集中して耳コピーをした後に誰かと喋ると、超カミカミになります。
そしてランナーズハイにも似た、なんだか妙な高揚感もあります。

それで、言語を司る脳の部分とカブッているのだろうなぁと体感するのです。


先日のレッスンで、その状態にハマっていらしたミユキちゃん。

「あ・・なんかハイで心地いいけど、口がもつれるかんじ笑」

お仕事帰りのレッスンで、少しお疲れだったせいもあるかと思いますが、
サウナでいえば『整う』といったところでしょうか。

目の前で生徒さんが満たされている様子に感無量です。
ありがとうございます。


「こどものブルグミュラーって表紙に書いてるから、もっと優しいのかと思ってたけど、
そんなに優しいってわけでもないんですね」

んー・・・『こどもの』って書いてるけど、
読みやすく拡大して印刷されてるだけで内容は同じかな笑



その空間で、同じ感覚を共有した者同士だけが味わう充実感。

音楽を介しての言葉では説明できない お互いの人となりを感じることができます。

たまらん♪



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Posted by ぐり先生 at 21:22│Comments(3)大人のレッスン
この記事へのコメント
どんな人でもぐりさんの手にかかれば、
いいところを引き出されて、いつの間にか能力以上のことをできるようになっているね。

本当に不思議なパワーを持った人だ。
Posted by ぐっさん at 2013年04月01日 19:05
指導やアドバイスを理解する力と素直に聞く力φ(・。・)
Posted by 平見 at 2013年04月04日 16:54
ご無沙汰してます。
ぐり先生、相変わらず大人気でお忙しそうですね。

『ちょっと頑張ればできそうなことしか言わない』の一文にとっても共感しました。

私の息子も、先生のレッスンを受けたからこそ、日常や学校、その他の習い事にもいい変化が起きたり伸びたりしたのに、
必ず生徒自身やお母さんのことを褒めたり労ってくださいますよね。

そのせいで、ぐりさんに頂いた沢山の的確なアドバイスも
気付けば自分で考え付いたような錯覚に陥ってしまい、、、
それを主人に指摘されて、恥ずかしながら反省することもあります。

ぐり先生、素晴らしいご指導で、今後も沢山の生徒さんや、そのご家族を笑顔にしてください。

息子も今年は受験生。
普通校を目指しています!
これも先生のお陰、本当にありがとうございます。
Posted by チロル at 2013年05月15日 16:30
 
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