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2019年10月03日

再構築~通常学級にいってから~

レッスンは通常学級へ行くことを目標にしているのではありませんが、
境界域、標準より低めだった生徒さんが、
通常級へ進まれるケースは本当に多いです。

ですが、たった数年でどうにかなるというものではなく、
伸びたら伸びたで新たな課題もでてきます。

当面は、やっていけるのかもしれませんが、
やはり遅かれ早かれ限界がやってくることが
ほとんどのように思います。


療育とは、配慮とは。


レッスンで取り組んでいること、指導していることは、
一般的な習い事や塾では習得が難しいところでもありますし、
福岡では発達障害のお子さんのいらっしゃるご家庭の
大半の方が受けていらっしゃるであろう
発達支援センターや病院、事業所などで受けられる
『療育』と言われているものとは
趣旨も指導内容も大きく異なります。



"境界域から軽度になってしまいました。
いまの療育の先生には「特に問題なくやれている」と言われていたんですが・・"

と、いらっしゃる方も少なくありません。
何をやってそうなったのかは謎ですが。

これまでに、たくさんのご家庭をみてきましたが、
『できる』『やっている』の定義や基準は、
親御さんの学習経験、社会経験、生活環境などにより本当に様々だと感じます。

そこがレッスンのご理解を頂くうえで、
もっとも難しいと感じるポイントの1つでもあると感じています。


「学校?楽しいよ♪
勉強もわかるし、体育もできるし、友だちもいるし、給食も早く食べられてるよ♪」

と、年少時DQ85で通級をつけて、
なかなか好調な通常学級生活を送っていた2年生。

レッスン開始当初は
言語不明瞭、運動や書字の困難、
とりわけ数関連は全くといっていいほど
習得が難しいお子さんでした。


年少さんの秋から開始しましたが、
やはり小2の2学期も過ぎ、週1レッスンでは厳しい事態に。

1年生の秋から日に日に思考や言動の偏りが強くなっていきました。

逸脱した行動などはなく、集団でそれなりに過ごせていれば、
困っていること、外でどんな受け答えをしているのか、
に気付く機会を得られることなく見過ごされたままになってしまいます。

そして、小学校では低学年の間は、
計算と仮名、漢字といったものの学習がほぼメインであり、
一般的な学習でも、ある程度はなんとかなることもあります。

ご家庭によっては、ここだけを見て
『できる、できない』の判断ポイントになっていることもあるかもしれませんね。

家の外で、どんな受け答えをしているのか、どんな所作なのか。
大半の学校の担任の先生は「特に問題なくやれている」とおっしゃるでしょうが、
実際のところは、ダイジョウブじゃない場面も多くあるのが現実のようです。

先日、レッスン中に課題の内容が理解できなかったリクくんが、
「国語とか算数で、いい点がとれればいいからこんなのできなくていい」
という発言をしました。

すでに指示やルールの理解が難しく、
また、合理主義が過ぎるところは特性の1つでもありますが、
思ったことを何も考えず口にしてしまうことが目につくようになってきて、
年齢的にも、対人面で失敗してしまうことが増えてくるのかなとも感じています。

この言葉から、リクくんが『日々求められていること』どのように受け取り、
どんな姿勢で物事に取り組んでいるのかも垣間見えますね。

しかし、リクくんの学習に関していえば、
仰天な漢字を書いており、計算はパターンの習得に時間がかかり、
毎日の宿題に時間がかかってなかなか終わらないとのことでした。


また、ぐりの言うところの『身体の動かし方』や『感覚機能』は、
体操教室やスイミングで求められるそれとは全く異なります。

一般的には教えなくても備わっているであろうと思われる
単純な作業に必要な動作が驚くほど難しく、
親御さんが習得して欲しいと願うことを鍛えることはできない場合も多くあります。

また、見本や周囲と動きが大幅にズレていることが大真面目にわからず、
「合っている」「できている」をムキになって反論したりとややこしかったりも。

リクくんも就学前から発達障害の支援の運動教室に通われていましたが、
ぐりによるチェックでは惨憺たるものでした。


レッスンでは運動機能、感覚機能訓練の要素を盛り込んだ指導もしておりますが、
学習障害がみられると、まずは学校生活が最優先事項にならざるを得ません。
そして、その学習は訓練に向けた必要な準備を兼ねているものでもあり、
実際に機能訓練にはいるまでは、かなりの時間を要します。



●運動、感覚機能の困難強めで過度に不器用
●衝動性、不注意
●見たもの聞いたものに対する言葉そのものや使い方の間違い
●記憶の弱さや独自の解釈
●ゲームや動画の影響も大きい不自然な言い回しや失言、やる気のなさ
●実際の自分のスキルや立ち位置に対する自己評価と周囲の評価の大きなギャップ
●完璧主義と自尊心からの失敗への恐れや億劫による回避、先延ばし・・etc



お母さんにとっては、
上のお子さんが知的な遅れを伴う自閉症スペクトラムということもあってか、
お辛い中でも、上のお子さんの大変さを思えば
リクくんは『できている』とお感じだったのかもしれません。

しかし、なんとかなるだろうという思いと期待とでいらしたお母さんも、
受け入れがたい現実に穏やかではいられない状態でした。

『このままできない子認定されてしまうのか』


追い詰められたお母さんからのメールです。


支援を受けられないレベルだからこそ、しっかりやらせたい



週2回のレッスンに切り替えて1年。
2年生も本格的な機能訓練を始められるまでになりました。
なかなか訓練までは手が回らないこともありますが、
やっとレッスンのステージを上げる日がきて嬉しく思っています。


「ここに来たら伸びるってわかってるから・・・」


お子さんが崩れる時は、お母さんの精神状態も極限であることが少なくはありません。
お母さんの方が辛くおなりになって、続けられなくなることも多い中、
リクくんのお母さんからは、そのような身に余るお言葉を頂き大変感謝いたしております。


2人のお子さんそれぞれに遠方より週2回。
タイプの異なる二人のお子さんに翻弄されるお母さんですが、
二人のお子さんへの計り知れない愛情と、
『どんなことをしてでも子どもたちを』という
並々ならぬ決意と覚悟からの尊いお姿に頭がさがる思いです。


苦しい時にこそ、その熱い想いを確信します。


失敗だとか、遅いなどということはありません。

気付いたたびに、何度も積み直したり初心に戻ることで、
誤って学習していたり、空白となっていた部分を埋め、
さらに解釈を深めることができ、
より現実的で盤石の基礎を築けることとなるのです。

今じゃない。
10年後、一緒に笑っていましょう。
そして、それに向けて1年1年を大切に過ごしましょう。

さぁ!リクくんが、どんな能力を秘めているのか楽しみです。


  


Posted by ぐり先生 at 13:58Comments(0)療育ピアノレッスン