2019年07月15日

お母さんの思考が現実化する~DQ71から通常学級へ~

「福岡 発達障害、福岡 療育 とか、
いろいろ検索しました」

と、ぐりの教室にお越しくださって、もうすぐ1年半。

空くん、年長さんのツイートをまとめました。

見づらい部分もありますが、
短期間でDQ71から101までの素晴らしい成長と
お母さんの惜しみない愛の記録です。


初回は、急遽決まった日程のため、
緊張の面持ちでお母さんだけでいらっしゃいました。

●赤ちゃんの頃は寝るとき何時間も泣いて抱き続けていたこと、
●園庭で大の字で寝転んでしまうこと、
●わざと泣いては鏡で涙が出ているか確認すること、
●プラレールやラインを横目で見ること、
●食べ物へのこだわりや偏食、
●ひどい癇癪、お母さんへの悪態と暴言、

明らかにただそこに居るだけにしかすぎない幼稚園では問題ないと言われ・・・


それまでずっと、お一人で抱えてこられた全く理解できない空くんの行動の数々を
堰を切ったように溢れ出る涙とともにお話しくださいました。


「俺のお母さんは笑わないで!!」が口癖のひとつです。
家でも公園でも。
帰ってくるなり言うときもあります。
参観に行った幼稚園の教室で、先生の話も聞かず、歌も歌わず、
ただただ私に笑うなと怒る彼が解らなくて、何もできなくて目をそらすしかなく。
空のことが知りたいのです。
良いことも悪いことも、ぼんやりとしか見えない彼の姿をとにかく見たい。
そのためには何でもしたいのです。



ご家族からは「気にしすぎ」と言われ、誰からも共感を得られることなく、
相談しようにも誰にも話すこともできず、本を読んでも不安が募るばかりだった4年間。

「私がいろいろ考えすぎるから余計に悪化しているのではないか」
「親子でひっそり過ごせば特に誰かに迷惑をかけることもないし、ギョッとされることもないし」


精神的にすっかり追い詰められておられました。

それと同時に、大変に冷静で客観的な、ご家庭では見逃してしまうようなポイントを
しっかり押さえられた素晴らしい観察力に驚かされたことを覚えています。








「これほどはっきりした返答を頂けるとは思っておらず、驚いております。
関わり方が大切と見聞きしても、その方法は模索しかなく、
日々息子と過ごして募るのは焦りと自責」


ぐりの分析や提案を的確に受け取ってくださり、特性に関しても率直に話し合えることに感謝しています。







レッスン3~4ヶ月。
まだまだ一方的に同じフレーズを何度も繰り返すことが多い頃です。
ゲーム的な課題はルールそのものが理解できず、
また、書く作業に関しては、『見え方』も含めて困難が大変強くありました。

レッスン半年。
幼稚園では運動会のレッスンが始まり、連日何度も繰り返されるバルーンの練習などはうんざり。
音は苦手で、合唱の歌声が辛くて耳を塞いで教室を出ていくなどの行動がみられました。
暑さと練習と音とストレスで空くんは慢性的な疲労が蓄積されていました。







「この半年、息子がどれほどに頑張ってきたのか、
どれほどレッスンが充実したものだったのかと思う」
とお母さん。

前回から1年ぶりの発達検査でDQ71から86。
環境や対人面で負荷が強くかかるタイプなだけに、
以前のそのタイミングでのDQ71という数値には強く不信を抱かれ、傷ついてもいらしたと思うのです。

数値や成績は結果的なものだと考えています。
数値的には高くても困難を多く抱えていることはあります。
可視化することでわかることもありますが、振り分けられてしまうのが現実です。

空くんの今後の見通しとしてDQは100程度、年齢相応になることをお伝えしました。

このことで、お母さんが元気と勇気、安心と希望を少しだけ取り戻すことができた印象を受けました。
その頃、お母さんから頂いたメールです。

お教室に行く途中、バスの中でも歩きながらでも、たくさんの事を話してくれます。
幼稚園の事、歩いていて気づいた事、嫌だった事、好きな事、食べたいもの。
街路樹の下に落ちた銀杏の実を手のひらいっぱいプレゼントしてくれることもあります。
私に叱られて拗ねている日もありますが、それでも傍にいて隣を歩いてくれる事が増えました。
行き帰りも、息子を知る楽しい時間です。


ここから空くんのペースは更に上がります。












福岡も就学相談の季節です。
普通級で過ごすことを選択なさった空くんのお母さん。

短期間でギュン!と伸びたため、にわかに信じがたいことは理解できますが、
就学相談では当然のことのように支援級を大変に強く勧められました。


ですが、
「普通級でやっていけるのか、という思いはありますが、息子の能力を引き出せる環境で」
と、揺るぎない決意を示されたお母さんです。

いらした当初とは正反対ともいえる、力強いお母さんのお言葉に、
ぐりが、どれほど感銘を受けたことか。


これから空くんは基礎的な知識と作業の習得、感覚機能の訓練を盤石なものにした後、
『見た目にわからないタイプ』としての課題に移行していきます。


グズグズ崩れることも、帰りに一人で先にダァーッと走り出すこともなくなり、
「次もまたコレやりたいなー」「オレ、これ得意なんだよ」「ヨッシャー」「また来るねー」と、
毎回笑顔で手を振って、お母さんと並んで歩く愛らしい姿に、ぐりも思わず頬が緩みます。

空くんとお母さんにも、そんななんでもない日常にありふれた親子の光景がみられるようになりました。

「福岡の療育センターに勧められた療育に通っていたこともあるんですけど、
何をやっている時間なのかがまったくわからなかった」


この1年半の空くんのレッスンの取り組みと成長ぶりと、
就学相談における一連の話は、以前の空くんを振り返り、
一般的にみんなが受けている『発達障害の療育、配慮』といわれているものや、
空くんの将来を改めて考える機会にもなったようです。

長い時間、成果を得られないことが続くと、
不信感が強くなり、夢や希望、良いイメージを描けなくなってしまいます。

とっかかりや原動力などは、最初は何でもいいのです。
行動をおこした先にこそ道はひらけます。

療育センターでの療育は離脱、週2のレッスン1本に集中。
空くんの成長は、お母さんの自信にもつながっています。

お母さんの不安や心配は尽きることはありませんが、
空くんは会話のやりとりもしっかりしてきて、課題も意欲的にこなしていますし、
体の動かし方も上手になってきて、縄跳びなども上手にこなしています。

とりわけピアノを弾くことと歌うことは嬉しそうで、
のみ込みも早く、今後が楽しみな生徒さんです。


思い描いていた子育てとは全く異なり、
苦悩する日々を送ってこられたお母さん。
まだまだ可愛い盛りに この状態にまでなれて、
本当によかったと心から思っています。


空くんのお母さんに子育ての喜びを味わって頂くこと、
そして、空くんが、ご家族でたくさんの楽しい思い出を作って頂くことが、ぐりの願いです。


空くんが、レッスンに向かうバスや地下鉄から見た景色、お母さんと行き戻りにした話などを思い出し、
「俺のお母さん、よくあんな遠くまで俺をつれて通ってくれたな」と、
生きる力にしてもらえたら、ぐりは嬉しいです。

空くん、きみに出会えてよかった。

ありがとう。

6歳のお誕生日、おめでとう。



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