2012年05月23日
春植えざれば秋実らず~発達障害 ASD・ADHDの可能性の種~

「せんせーい! 聴いとってぇー」
うんうん。
「曲つくったけん、弾いてみる」

手描きのかわいらしい楽譜です。
ドレミファソラシドの音域をやっとこさ自分で読みながら弾けるようになったところですが、
楽譜を書くことなんて まだ1度も教えたことがありません。
テキストを見ながら自分で思いついたようです。ブラボー
可愛らしい弾き語りの姿にキュンキュンします。
満足そうな笑顔につられて ぐりも頬がゆるみっぱなしです。
「コレ、せんせいにあげる」
うっそ!!ほんとにー!!!
思いがけないプレゼントに、胸がジーンとしました。
初めて来てくれたのは年中さんの秋。
ぐりのことには全く興味がない、といった感じで、
目も合わさず、一言も口を開かずに帰っていかれるようなお子さんでした。
どんな声なんだ?…って思っていたくらい。
「なにを考えているのか、わからない時があって・・」
言葉が少し遅いと感じたくらいで、その後は普通に話せるし、特に心配することはなかったものの、
なにかおかしい、どこかが違うと感じていらしたとおっしゃるお母さん。
確かにみーちゃんは理解できることは多いものの、話は一方通行気味で、
同じ指示を出しても、思い描くものが独創的な生徒さんでした。
育てにくい・・
いろんなことは、頭ではわかってはいらっしゃるものの、
実際に、日々のお子さんとの関わりから一瞬首をかしげるようなことも多く、
その都度、この子の個性なのだと、ご自身に言い聞かせてこられたお母さん。
年齢が上がるにつれて激しく募る一方の違和感と不安との葛藤に、
おひとりでどれほど苦しまれたのかと思うと、胸が痛んでなりません。
ご家族の会話の中で、お子さんの言葉の聞き取りや、
お子さんとのやり取りの噛み合わなさに気付くことは、
なかなか容易なことではないのだなということは、
たくさんのご家族にお会いしてきて感じることの一つです。
「そんなに聞き取れないとは思ってなかった…」
「そんなにできないとは思っていなかった…」
「特に困ってはいない…」
標準の下(いやな括り)から軽度寄りの域のご家族のお話です。
家族の間では、特に『汲み取る』チカラが強く働きますからね。
また、たとえ『そうなのではないか』と思われていらしたとしても、
理解するということと、現実的に受け止めるということは必ずしも一致せず、
漠然とした不安に苛まれるばかりで、精神的に追い詰められるお母さんたちも少なくありません。
誰にも気持ちを吐き出せず、感情をぶつけてこられる矛先が
ぐりにしか向けられない方もおられます。
そんなときは、ま、少しゆっくりなさっては…と、
お時間という『日にち薬』を処方して
少したってから「先日はすみません…」と再開なさる方も多いですね。
やっぱり辛い。
病気でもケガでも不合格でも、なんでも。
なってみてはじめてわかる、そう思っています。
そんな中で、勇気を出してお問い合わせくださった、
みーちゃんのお母さんのお気持ちを本当に嬉しく、
お子さんのことを想われての素晴らしい行動力だと思います。
レッスン丸2年。
みーちゃんは、見違えるほどの成長を遂げています。
あれだけ無口だった子が、「あのね、今日ね」と、たくさんお話してくれますし、
振り返って「せんせーい、バイバイ」と、笑って手を振って帰っていきます。
初めての課題になると固まって拒絶することが多かったのですが、
間違えることへの不安と抵抗もクリアして、「わからん…」と言えるようにもなりました。
そして、自分でやってみたいという意欲がわき、実際に行動してみる勇気もみられます。
豊かな感性は さらに豊かに、
ものの見方、考え方が伸びてきて、作業の効率も上がり、
不完全燃焼でイライラすることがめっきり減ってきました。
(そう、なんかわからん!!の連続。不完全燃焼なのです)
現段階では、周りからは理解を得にくいことも時々あるようですが、
みーちゃん自身は、あまり人の評価にとらわれていません。
成長の過程で、いろいろな時期もあるかと思いますが、
どうかこのまま、人の顔色を気にしたり、小さくまとまらずに
堂々と、ただ自分の世界を満喫してもらいたいと願っています。
みーちゃん、あなたにこんなに素晴らしい才能があったとは。
あなたの中にあるものを より素晴らしく表現できるように、
もっと視野を広げてたくさんのことを吸収してください。
「この子を嫌いになる前に先生に出会えてよかったです」
お母さんと二人で泣いた日のことをぐりは今でも忘れません。
お母さんは、みーちゃんの『状態』に戸惑っていただけ。
誰も悪くありません。
さぁ、ご家族でのたくさんの思い出をつくりましょう。
みーちゃん、あなたに出会えてよかった。
素敵なプレゼントをありがとう♪
ぐりは、いつでもみーちゃんを応援しています。
Posted by ぐり先生 at 20:08│Comments(1)
│療育ピアノレッスン
この記事へのコメント
音楽とは様々なスタイルがあり、優劣つけるのは大変難しいですね。
それらを受け入れ、時には導くということが、先生の御役目でもあるのでしょうか。
子供には音楽家のようにならなくてもいいけれど、いい音や本物を知ることで、世界観を広げて欲しいと思います。
きっとぐりぐり先生は子供の可能性を引き出すようなレッスンをなさるのでしょうね。
Visionsは夏にラジオにてよく歌を拝聴致しておりました。心あたたまる曲ですね。
それらを受け入れ、時には導くということが、先生の御役目でもあるのでしょうか。
子供には音楽家のようにならなくてもいいけれど、いい音や本物を知ることで、世界観を広げて欲しいと思います。
きっとぐりぐり先生は子供の可能性を引き出すようなレッスンをなさるのでしょうね。
Visionsは夏にラジオにてよく歌を拝聴致しておりました。心あたたまる曲ですね。
Posted by 愛理ママ at 2009年10月17日 21:51