2011年11月27日

発語の瞬間

この秋から嬉しい変化がたくさん続いています。


 ハルくん、年少さん。

 ぐりの教室へ来てくれるようになって
 2年目に入りました。



幼稚園にも通い始めて、この半年で真っ黒に日焼けし、
身体もガッチリしてずいぶん重くなりました。
ニコニコ笑顔もいっぱい増えたし、
椅子にも長く座ってこなせる作業もずいぶん増えました。

もちろんピアノも一緒に弾いています♪


お母さんの心配は尽きることはないと思いますが、
最近は外食や、お買い物にハルくんと一緒に行くことができるようになりました。

それさえも難しかったこれまでのことを思うと、
本当によかったと思っています。


10月のある日のレッスン。
なぜかいつものように机での作業に取り掛かろうとしないハルくん。
「椅子にすわろう!」という声かけも聞かず、別の椅子に座ってグズグズ。

ですが、いままでと違うのは、
ぐりとママの顔を交互に伺いながら、わざとゆっくりしているという感じ。


お母さんにもお願いして目線を外し、無言で待ってみる・・・。

すると、です。
立ち上がり、不思議そうにぐりの顔をのぞいて
視界に入ってこようとするではありませんか。

お母さんの方へも歩み寄って
「ママ、笑ってよ」と、言わんばかりに懸命に笑って
お母さんに自分を見てもらおうとしています。

こんなこと・・・いままでのハルくんにはありませんでした。
ハルくんに『自分を見てほしい』という感情が芽生えたということです。

そして、お母さんと目を合わせてニッコリしたい、
ニッコリすると嬉しいということを理解したということです。


すぐにでも抱きしめて喜びたい気持ちをグッとこらえて、
ぐりが机でシール貼りの作業を始めると、
やっぱり僕もしたいと寄ってきます。

「シール好きでしょ?楽しいよ、貼ろう」というと、コクコクと頷くハルくん。
「じゃ、立っちゃったからゴメンナサイってして座ろうね。ゴメンナサイ、(真似してね)はい!」


「ごっ・・・・」 と大きな声で言って頭をペコリ。


思いがけない嬉しいハプニングに、お母さんは思わず涙がホロホロ。


ずっと、この日を待っていました。

たとえ一音だったとしても。


初めて教室でお会いしたハルくんのお母さんは憔悴しきっておられ、
「わたしのせいで、この子が」と、ご自身を責めてよく涙をこぼされていました。

決してお母さんのせいではないのですが、
そんな思いの強いお母さんだからこそのハルくんの成長です。


片道1時間の道のりを運転して毎週通ってくださり、
山笠の渋滞や、病院が長引いて遅れた日も、ひとことも不満を言わず
「5分でもいいのでレッスン受けてもいいですか?」と。
次のレッスン間際まで目一杯レッスンしても、ほんの10分程度だったにも関わらず
「ありがとうございました。楽しかったねー」と笑顔で帰っていかれたこともあります。

素敵なお母さんだなと、ずっと思っていました。
なかなか真似できることではありません。


ヒトは初めてできた感激もいつしか薄れ、やがて当たり前の光景になります。
それどころか、もっともっとと次を求めてせかしてしまう。

今日のこの瞬間の感動をいつまでも大切にしたいですね。


先週は「ココに座ります」と言ったぐりにつられて
「ココ!!」とハッキリ言えました。


こんな日がくることをずっと待ち望んでいらしたお母さん。
楽しくおしゃべりできる日も、そう遠くないでしょう。

よかった・・。


ぐりはいつも信じています。
親御さんの愛情のチカラと、音楽のチカラを。

ハルくん、応援しているよ。

ありがとう。



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この記事へのコメント
特別支援施設から通常施設に移動したときに、
どれだけの方から優しく手を差し伸べて頂いているのかを知り、
やはり感謝の気持ちが薄れていたと深く反省したことがあります。

貴女のアドバイス通り「すみません」ではなく、「ありがとう」にしたら、
周りの方とも、とても気持ちよく関われるようになりました。

能天気なんて、いつもおっしゃるけど、
本当に心の底から優しく、いつもみんなのことを気遣う貴女。
きっとハルくんにも貴女の愛が伝わったのでしょう。
さぞやお喜びになられたことでしょう♪
Posted by 茉莉音 at 2011年11月28日 21:16
我が子の為に頭を下げる親御さんは減ったね。
たとえ躾のせいではない発達障害であっても
親御さんの対応で、そう受けとられるケースは残念に思う。

ドリルや単に課題をこなすことだけの教室に走りがちな親御さんは多い。
ぐりさんの教室に通えば、親子ともにトータルで伸びるから最終的には『一粒で何度でも美味しい』
そんなお菓子があったな。
Posted by ごっつ at 2011年12月01日 11:58
さすがに結果を出す先生の言葉だけど、
深く読めない人には難しい内容かも。
またソコがいい(笑)
Posted by ぐっさん at 2011年12月02日 15:18
茉莉音さん
ありがとう と お願いします
言うほうも、言われたほうもいい気持ちになりますよね。
Posted by ぐりぐり at 2011年12月06日 09:20
ごっつー
もしかしたら習い事したことがないのかもしれないし、
親世代の時代背景もあって、自分もそういうことしてもらってないかもしれないし。
ぐりみたいに『クラシックなこというタイプ』(笑)は、化石かも(笑)
Posted by ぐりぐり at 2011年12月06日 09:32
ぐっさん
そ、そうかな…
ま、本気で関わってるし、誰でもいいって訳じゃないからいいかな(笑)
Posted by ぐりぐり at 2011年12月06日 09:37
 
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