2012年02月02日

やっと1年、もう1年~療育レッスンによる自我の芽生え~

この1年、リョータくんファミリーは激動の1年になりました、、、
というよりも、『させてしまった』という方が近いかもしれません。

1年前、リョータくんのレッスンに同席くださるお父さんとお母さんの心配ぶり・・・。
リョータくんのしぐさ、話すこと、全てにお二人で全神経を張り巡らせてせていらっしゃり、
ぐりは一度に3人、グループレッスンしているような状態でした。


物心ついてから毎日毎日、一番長く一緒に時間を過ごしている親御さんの
うまくいかない状況をなだめたり、注意したり、励ましたりしているつもりの言葉かけの表現や反応が
逆に劣等感や諦めを深く刻み込むことになっていることがあります。

「そうか、自分はコレができないんだな。自分には無理なんだな」と。

これが記憶の積み重ねとなり、
その後の人生に大きく関わってくるので意識して気をつけたいことですね。

わたしたちも、目の前で起きていることに意味をつけているのは、
全て自分の過去の経験からくる記憶によるもので、
成るべくして成り、起こるべくして起きていると言っても、過言ではありません。
自分の周りを見渡すと、自分の気持ちが前向きかどうか・・・わかるかもしれません。


そして、ピアノを始めて半年。
リョータくんの3年生の夏休みは今までと何かが違いました。


反抗期 


『かわいい男の子』からの脱皮。
お母さんにとってはショックな事件でもあり、
事あるごとに衝突する毎日に疲弊しきっているご様子でした。


お母さんは、それまでずっと張り詰めていたものが、
ついに教室で溢れてしまわれました。

「ママ、なんで泣きよーと?」 
そばで見ているリョータくんにとっては、お母さんの涙の理由がわかりません。

特性からと頭でわかってはいても
そんな言動が虚しい気持ちにさらに追い打ちをかけます。

お母さんは、やり場のない複雑な思いに、
ただ顔を覆って泣いておられました。

レッスンを始めて半年。
変顔で飛び跳ねるリョータくんを『面白い子』と笑っていらしたご両親。

今まで当たり前のように思っていたいろいろな感覚や定義の再構築により、
リョータくんの目覚ましい伸びが加速。

そして訪れた自我の芽生え。

お母さんは大変だったでしょうが、
ぐりにとっては、とても嬉しいできごとでした。


そんな夏休みを乗り越え、2学期が始まった9月のある日、
リョータくんが一人でレッスンを受けると自分から言い始めたそうで挑戦。
ご両親には『一人でなにかをする』という発想が、それまでなかったようで、
ご家族にとっての一大イベントになりました。

緊張しながらも、楽しく、集中したレッスンをこなせ、
いろんな面での達成感を味わい、満足そうな顔をしていたのは言うまでもありません。

その頃のお母さんからのメールには、
『一人じゃ 何もできないと勘違いして あれこれ口出しや手出しばかりして
一人じゃ何もできない子どもにしていたのは自分達だったと深く反省しています』 

と、ありました。


ヒトには それぞれ『時期(とき)』というものがあるのだと思います。
今までの大変なことも全部必要なことで、
それがあったから『今』起きたことを受け入れられるし、
『今』があるからこそ、振り返ることもできるのではないでしょうか。


この1月からリョータくんは、一人で教室まで通ってくれています。

帰り際、玄関先で真っ直ぐ立ち、
「今日もお世話になりました。ありがとうございました。また来週お願いします。」
と、一礼。
毎回とても丁寧なご挨拶です。

大人でもこういう挨拶をできるヒトは少ないです。
きっとリョータくんのお父さんとお母さんが、
いつも周りのヒトに言っているのを
ちゃんと見ているんだなと思います。

リョータくんのお母さんは、夏休みに頑張りすぎたため、
この冬、体調を崩してしまわれました。
リョータくんも心配で落ちつきません。

日々の心労と将来への不安からくる精神的、身体のダメージ。
そしてレッスンでホッと安心されたことによって、
体調を崩されるお母さんは少なくありません。

療養しながらも、レッスン第一でいらっしゃるご姿勢には
頭が下がる思いです。

リョータくんのご家族は、この1年で大きく変わり、
ご家族で特性を受け止めて強く前向きに歩き出していらっしゃいます。

私たちは毎日毎日、明日(みらい)の種を蒔き続けています。
遅すぎることなんてないのです。

思ってもみなかった生活はあります。


とても引き締まった顔つきになりました。

リョータくん。

ぐりは いつも応援しています。

ありがとう♪



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この記事へのコメント
春 植えざれば 秋 実らず

徐々に質の良い種を蒔いていけば、必ず次第に立派な実をつけるようになる。

種だけ良くても、土だけ良くてもダメで
水も肥料も太陽も温度も必要だ。

ご家族の気遣いをするということは、そういうことだね。
素晴らしい。
Posted by ごっつ at 2012年02月02日 21:10
とくに発達障がいのお子さんをおもちの親御さんは、子どもに関わる人が誰でもいいという訳ではないので、行き場がなくて、本当に困っています。
適切な指導をしてくださるうえに、人間味溢れる先生に関わることこそが発達障がいのお子さんに最も必要とされることです。
素敵なお教室ですね。
Posted by なっちママ at 2012年02月03日 11:17
ぐりちゃんお久しぶりです~♪

相変わらず中身が濃いレッスンですね~
ぐりちゃんの人柄の良さが伝わって、素敵な教室ですね~♪

みんな、大なり小なり、悩みを抱えて生きてますね。

昨年私も7年ぶりの鍵盤で、エレクトーン猛練習しました~
9月の発表会は、先生(ピアノ)と一緒にアンサンブルも何とか無事に
終了。
やっぱり音楽は楽しいですね~♪

インフルエンザが流行っています。
ぐりちゃんも気を付けて下さいね~
では、また~
Posted by のり奴 at 2012年02月10日 11:37
ごっつ

見守る、寄り添う って、どういうことなのか考える。
優しさってなんだろう。
Posted by ぐりぐり at 2012年03月14日 13:04
なっちママさん
ありがとうございます。
障害の有無は、あまり考えていません。
レッスンを続けていくうちに皆が笑顔になっていくのは本当に嬉しいですね。
Posted by ぐりぐり at 2012年03月14日 13:12
のり奴ちゃん
ありがとうございますー

悩みの大小は比較できないけど、少しずつ快方に向かうといいなと思います。

そのツールの1つとしてピアノ、音楽となれば嬉しいですね。
Posted by ぐりぐり at 2012年03月14日 13:16
 
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